本書がかなり売れてるらしいという話を聞いて、正直面食らっている。だって日本にグレイトフル・デッドのファンってそんな多くないだろ? 山下達郎なんか「世の中で一番嫌いなバンド」(「CUT」1991年7月号)とまで言ってるぜ? しかもそのデッドにマーケティングを学ぶなんてヘンな本だぜ?

 正直に書くとワタシも熱心なグレイトフル・デッドのファンではない。しかし、ライブ演奏がツボにはまったときに催眠術的魅力、そしてデッドヘッズと呼ばれる大量の強固なファンベースを構築してきたことは承知している。

 本書を読んでいて、ワタシは奇妙なダブルバインドの感覚に囚われていた。つまり、デッドの魅力は承知しているので本書の著者がデッドを愛する気持ちはよく分かる。そして彼らの方法論は、確かに現在のウェブ企業の一部の良質なユーザ層拡大の方法論に見事に通じている。しかし一方で、自分たちが常識としているマーケティングの方法論はそれとはまったく異なる価値観で仕切られており、自分自身サラリーマンとしてそれを受け入れている。しかし一方で、ワタシ自身は10年以上こういうウェブサイトをやりながらネット活動をしてきた人間として、著者たちの主張は全然不思議なものではないのだ。しかし一方で……

 本書が売れているのは面白いことだと思う。しかし、本書は日本企業のマーケティングに何かしら実際的なインパクトを与えるのだろうか? それが気になるところである。ウェブスタートアップが得るところが多いのは予想の範疇なので、それ以外のところに影響があってほしいなと思う。

(Reblogged from nakasato)

Notes